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自主避難母子が東電とADRにて和解~避難に伴う費用など賠償~

 従前まで賠償の対象外とされていた対象区域外避難者の方でも対象区域避難者の方と同程度の放射線量ということを理由に同程度の賠償を認める和解案が紛争解決センターから出された、との報道がありました。

 内容は次の通りです。

 東京電力福島第一原発事故後の平成23年7月に白河市から札幌市に自主避難した母子が17日までに、原子力損害賠償紛争解決センターによる裁判外紛争解決手続き(ADR)で東電と和解した。

和解額は134万7190円で、避難に伴う交通費、家財道具購入費、母親の離職による減収分などを含んでいる。

 原子力損害賠償紛争審査会が定めた自主的避難等対象区域(福島などの23市町村)から避難した人の和解例は複数ある。

白河市は対象区域外だが、和解例のある対象区域と同程度の放射線量であることを理由に、対象区域と同じ程度の賠償が認められたという。

 代理人によると、原発事故の避難区域設定後に避難した人のうち、県南地方の避難者が東電と和解したのは初めてとしている。

賠償範囲を定めた国の中間指針は事故から一定期間を経た自主避難者について明確な定めはない。

代理人は「区域を問わず賠償請求が加速するのではないか」とみている。

 母親は40代で、東日本大震災発生時、夫をはじめ、当時中学1年の長女、当時小学5年の長男と暮らしていた。

福島第一原発事故後の同年7月21日に母子3人で札幌市に自主避難した。請求額は1100万円だったが減額された。

現在も仕事で白河市に残る父親の慰謝料は認めなかった。

 母親と代理人が17日、東京地裁で記者会見した。

会見で母親は「賠償を認めてもらい評価している。自主的避難等対象区域外の世帯も賠償を受けられることを示せた」と述べた。

 東電は「仲介委員の示した和解案には真摯(しんし)に対応していきたい」とコメントした。


福島民報(H25.4.18)
 http://www.minpo.jp/news/detail/201304187918
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被災者生活再建支援法の福島第一原子力発電所事故の長期避難者への適用を求める日弁連会長声明が出されました

被災者生活再建支援法は,阪神淡路大震災をきっかけとする市民運動により成立した法律です。

現在,行政側は,「福島原発事故は自然災害ではない」という乱暴な理由で,避難者を支援対象から外そうとしています。

浪江町はこれに反対しており,日本弁護士連合会も,浪江町を支持する声明を発表しました。

内容は以下のとおりです。

福島県浪江町は、本年4月10日、国及び福島県に対し、東日本大震災に起因する原発事故による長期避難世帯を被災者生活再建支援法の長期避難世帯と認めるよう求める要望書を提出した。当連合会は、その内容に賛同し要望を支持する。


そもそも、被災者生活再建支援法は、自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた者に支援金を支給する制度であり(同法第1条)、東日本大震災においても被災者に対する基本的かつ重要な支援策と位置付けられている。その支援対象は、家屋被害を受けた世帯だけでなく、県知事が認定する長期避難世帯も含まれる。したがって、長期避難を余儀なくされている多くの避難者(15万人以上が福島県内外に避難)に対しては、本来、被災者生活再建支援法による救済が強く期待されるところである。


ところが、福島県では、福島第一原子力発電所事故(以下「本件原発事故」という。)によって長期避難を余儀なくされた被害者を認定の対象外とし、支援金を支給していない。こうした避難者に対する厳しい措置は、被災者生活再建支援法の支援対象を自然災害の被災者のみとし、本件原発事故は東京電力が引き起こした人災であるから対象から外れるとした国の狭い限定解釈に、福島県が依拠しているところに原因がある。


しかし、2012年7月5日に公表された東京電力原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の報告書においても、本件原発事故の「直接的原因は、地震及び地震に誘発された津波という自然現象である」と結論付けられている。本件原発事故が、地震・津波に起因していることは疑いなく、本件原発事故と自然災害との間に因果関係があることは明らかである。


被災者生活再建支援法は、自然災害に起因する災害については、直接又は間接を問わず、支援の対象としている。元来、被災者の生活再建を広く支援するところに法の目的があり、数次にわたる改正経緯、現行制度の運用実態からしても、本来、弾力的な解釈と運用を行うべきものであって、限定的な解釈は妥当ではない。むしろ、長期避難世帯を対象外とする限定解釈は、被災者生活再建支援法の精神に反するものというべきである。


当連合会は、2011年7月29日付けで公表した「被災者生活再建支援法改正及び運用改善に関する意見書」の中で、①長期避難世帯の認定(同法第2条第2号ハ)を早期に行うべきこと、②本件原発事故によって避難等を指示された世帯だけでなく、被ばくを避けるために避難することが必要かつ合理的と認められる世帯に対しても被災者生活再建支援法を適用すべきことを提言した。


本件原発事故による避難者は、避難生活の長期化により生活資金が枯渇して困窮しつつある。こうした避難者が置かれた現状に鑑みれば、原発事故損害に対する適切な賠償、福島復興再生特別措置法及びいわゆる原発事故子ども・被災者支援法による生活再建施策の実現を急ぐだけではなく、実態にそぐわない被災者生活再建支援法の限定解釈を直ちに見直し、被災者生活再建支援法を弾力的に運用して早期に支援金を支給するのが相当である。


よって、当連合会は、浪江町の要望を支持しつつ、国及び福島県に対し、被災者生活再建支援法の解釈を見直し、福島県における本件原発事故による長期避難世帯の認定を積極的に行い、支援金の支給による救済を進めることをあらためて求める。

2013年(平成25年)4月26日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司

日弁連から東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効について特別の立法措置を求める意見書が出されました

日弁連からタイトルの通りの意見書が出されました。

その趣旨は,
①平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により生じた原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)第2条第2項にいう「原子力損害」をいう。)の賠償請求権については、民法第724条前段を適用せず、短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置を早急に講じるべき,

②前項の原子力損害の賠償請求権については、民法上の除斥期間及び消滅時効の規定(民法第724条及び同法第167条第1項)は適用されず、別途、一定の期間を経過した後に消滅するものとする特別の立法措置を講じることの検討に着手すべきである。ただし、その期間については、慎重に検討するべき
というものです。

日弁連意見書のリンク

岡山原発被災者支援弁護団団長の挨拶

岡山原発被災者支援弁護団の団長に就任しました石田です。

よろしくお願いします。

 2011年3月11日東北沖を震源とする東日本大震災がおこりました。

直後の新聞には、福島原発からの「高濃度放射能漏れ」という見出しが、一面トップになりました。

隣県で阪神淡路大震災を経験した私にとっても、この震災は広範な津波被害とともに、地震とは異質な原発被害を知ることで大きな衝撃をうけました。

同年7月ある団体の会合で東北沿岸部をバスで視察し、津波被害のすさまじさを体感しました。

私は、福島の雰囲気を知りたいと郡山市で一泊しました。

郡山駅前では、学生が福島頑張れコンサートをしていました。

会津の福島県立博物館にいって福島の歴史を見学しましたが、わら人形で「福島の悪災退治行事」の民俗特別展をしていました。

それは、放射能退治の願いを込めたわら人形にみえました。

 会津から郡山に向かう沿線では、なにごともなかったように稲が青々と成長していました。

これが放射能の恐怖だなと思いました。

津波被害は見えるけど放射能被害は見えない。屋外に子供たちの姿はみえませんでした。

岡山弁護士会では、震災直後に東日本大震災復興支援プロジェクトチーム(略称震災PT)を立ち上げ、県内避難者支援や東北現地派遣支援をおこなうことにしました。

東北現地派遣は諸々の事情でできませんでしたが、県内支援者支援は、無料法律相談の実施などをしてきました。

 その活動の中で、原発被害による被害者の東電への賠償請求や原発賠償ADR申立の代理人活動などが全国的に活発になったことを受けて、個別の事件の代理人活動が必要となってきたと考え、弁護団を立ち上げることにしました。

もちろん、賠償請求だけでなく様々な避難にともなう無料生活法律相談もうけますし、原発だけでなく、地震そのものによる無料生活法律相談も行います。

原発被害者の皆様に寄り添いながら、全国の情勢を岡山県に避難した皆様にお伝えし、被害回復にむけ、あるいは生活再建にむけ、なにができるか一生に考えながら活動したいと思いますので、どうぞお気軽に弁護団に御連絡ください。

よろしくお願いします。

「原発事故賠償説明会+なんでも相談会 ~全国の原発訴訟とADRの現状報告~」開催のお知らせ

 
 岡山弁護士会と広島弁護士会が連携し,下記日程で,福島第一原発事故に伴う損害賠償請求の全国的な現状についての説明会をそれぞれ開催されるそうです。情報提供いたします。
 
福島第一原発事故に伴う損害賠償の全国的な現状について,次の日程で説明会を開催いたします。

 原発事故に伴う損害賠償に関しては,東電に対する任意の賠償請求や,原発ADRを利用しての賠償請求が行われてきました。

そして,今年3月以降,日本各地の弁護団を通じて,東電に対する損害賠償訴訟が提起されました。

 これまで行われてきたADRではどのような範囲の損害賠償請求が実現してきたのか,訴訟ではどのような範囲の損害賠償を請求しているのか等,原発事故損害賠償請求に伴う全国的な現状についての説明をいたします。

 説明会の後では,原発事故に伴う損害賠償問題に限らず,東日本大震災に伴って生じた法律問題について弁護士に相談できるなんでも相談会を行います。

 ご気軽にご参加ください。



1 岡山弁護士会
     日時 5月25日(土)13:30~
場所 きらめきプラザ 7F705会議室
    岡山市北区南方2丁目13-1
※駐車場はございませんので,公共交通機関か近隣の有料駐車場をご利用ください。

2 広島弁護士会
     日時 5月26日(日)13:30~
場所 広島弁護士会館 広島市中区上八丁堀2-66

「東日本大震災無料法律相談事例集」紹介映像が日弁連HPにて公開されました

平成25年4月9日、日本弁護士連合会が取りまとめた「東日本大震災無料法律相談事例集」をご紹介する動画が日弁連HPにて公開されました。

本事例集は、震災後各地で実施された無料法律相談から1、000件の相談事例を選び出し、具体的に内容を記載したものです。事例集には、被災者の生の声が記録されており、東日本大震災の悲惨さを伝えるとともに、震災後、新たな立法・制度の実現につながった相談事例や、今後の課題を示す相談事例等を掲載しています。
復興支援に関わる研究者・専門家の方、支援者の方に御活用いただくとともに、広く一般の方に御覧いただき、本震災の教訓として防災意識を高めていただく一助となれば幸いですので、ぜひ御覧ください。


http://www.nichibenren.or.jp/activity/nichibenrentv.html
プロフィール

岡山原発被災者支援弁護団

Author:岡山原発被災者支援弁護団
岡山原発被災者支援弁護団のブログへようこそ!

当弁護団は、
団長   弁護士 石田正也
事務局長 弁護士 安田祐介
以下合計27名の弁護士で構成されています。

当弁護団へのご連絡は・・

みどり法律事務所
 弁護士 安 田 祐 介
〒700-0807
岡山市北区南方1-7-21
TEL:086-234-0008
FAX:086-234-0109
Mail:midori-yasuda@midori-law.jp
までお願いします。
(受付時間:平日9:00~17:30)

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